子宮内黄体ホルモン放出システムとは
子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ)は、黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを子宮の中に持続的に放出する子宮内システム(IUS: Intrauterine System)です。
黄体ホルモンは子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、子宮内膜はうすい状態となり、月経量を減少させる効果をあらわし、さらには月経痛を改善します。よって、過多月経の治療、月経困難症の治療に用いられます。
また、受精卵の着床(妊娠の成立)を妨げたり、子宮の入口の粘液を変化させて精子が腟の中から子宮内に進入するのを妨げたりすることで避妊効果を発揮するので、避妊器具としても用いられます。
子宮内黄体ホルモン放出システムの副作用
不正性器出血(月経以外の出血)、月経出血日数の延長、月経周期の変化、卵巣のう胞(通常はホルモン変化に伴う一過性のもの)、などが起こることがあります。
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤)とは
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤)には、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)の2つの女性ホルモンが含まれています。経口避妊薬(OC)と同等の薬ですが、子宮内膜症や月経困難症の治療を目的としている薬剤です。当院では、ルナベルとヤーズを採用しています。
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤)の副作用
軽い頭痛、軽い嘔気、少量の不正性器出血が起こることがありますが、飲み続けると徐々に改善します。
重要な副作用として、血栓症(静脈血栓症・動脈血栓症)があります。血栓症は頻度こそ低いものの、致死的となる場合があるので、厳重な注意が必要です。海外の調査によると、服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1-5人であるのに対し、服用女性では3-9人と報告されています。喫煙、高年齢(40歳以上)、肥満、長時間の航空機搭乗(いわゆるエコノミークラス症候群)、などは血栓症の発症リスクを高めるため、注意が必要です。血栓症は以下の症状(ACHES)と関連することが報告されていますので、服用中に症状を認める場合には、すぐに医療機関を受診して下さい。
A:abdominal pain (激しい腹痛)
C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)
H:headache(激しい頭痛)
E:eye / speech problems
(見えにくい、視野が狭い、舌のもつれ、失神、意識障害)
S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み、むくみ、握ると痛い、赤くなっている)
詳細は以下の監修したHP参考にして下さい
経歴
1993年 |
東邦大学 医学部卒業 |
1999年 |
社団法人日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 |
2007年 |
東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科講師(病院) |
2007年 |
日本産婦人科医会 幹事 |
2009年 |
医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事 |
2017年 |
医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事長・院長 |