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浅川産婦人科の院長 Drやすゆきが、お産のお悩みについてお答えしていきます
お腹に宿った小さな命を守りたい、というのは、多くのママに共通する願いだと思います。一方で、妊婦さんの約15%が流産を経験するのも悲しい事実です(※1)。それでは、少しでも流産する可能性を抑える方法はあるのでしょうか?今回は、妊娠中または妊活中の女性向けに、流産を予防するために日常生活の中で注意したいことをご説明します。
流産とは、妊娠22週未満で赤ちゃんが亡くなってしまうことを指します。日本産科婦人科学会によると、週数別の流産が起こる割合は以下のとおりです。
特に、妊娠12週未満に起こる早期流産が多く、流産全体の約80%を占めます。
流産の主な原因は、起こる時期によって異なります。
早期流産のほとんどは、胎児の染色体異常など、赤ちゃん側の原因で起こります(※3)。残念ながら、受精の段階で流産の運命が決まってしまっていることも多く、この場合、流産を予防することは難しいといえます。
また、双子などの多胎妊娠の場合、早期流産となる可能性が高いことがわかっています。
一方、後期流産の多くは、子宮奇形や子宮頸管無力症のほか、細菌感染がきっかけで起こる絨毛膜羊膜炎など、妊婦さん側の異常によって起こります(※3)。
また、まれですが、過度のストレスなど精神的な要因で流産が引き起こされることもあります(※2)。
後期流産の場合、母体側にある原因が明らかであれば、何らかの対処ができる可能性もあります。しかし、原因不明の場合もあるので、完全に予防ができるわけではありません
先述のとおり、自然流産が起きる頻度は一般的に約15%です。
しかし、上のグラフのとおり、妊婦さんの年齢が高くなるにつれて流産率は上がることがわかっており、厚生労働省によると、40歳以上になると40%を超えるという報告データがあります(※4)。
加齢とともに流産率が高まる主な要因の一つとして、高齢の女性の方が卵子に染色体異常が見られる確率が高いことが挙げられます。
繰り返しになりますが、流産の原因が胎児側にあったり、特定できなかったりすることも多いので、「これをすれば100%流産を防ぐことができる」という方法はありません。
しかし、次のことに気をつけることが、流産のリスクを下げることにつながります。これから妊娠を希望する人も、すでに妊娠がわかっている人も、日常生活の中で注意してみてください。
厚生労働省によると、妊娠中に喫煙していた女性は、タバコを吸わない女性と比べて、自然流産するリスクが高いことが指摘されています(※5)。
そのほか、喫煙は、口唇口蓋裂などのリスク要因にもなります。妊娠を希望する女性は、妊活を始める時点で禁煙することをおすすめします。
妊娠中の飲酒は、流産や死産、赤ちゃんの先天異常が起こる頻度を高めます(※6)。
ママが摂取したアルコールは、胎盤を通って赤ちゃんに届いてしまい、胎児細胞の発育を妨げると考えられています。お酒が好きな人も、妊娠を考えた時点で控えるようにしましょう。
流産のリスクを高める要因の一つとして、「肥満」も挙げられます(※3)。
栄養バランスのとれた食生活を送り、肥満を予防することは、流産だけでなく妊娠高血圧症候群などの合併症の予防にもつながります。
流産の原因になりうる病気はいくつかありますが、安定期に入った妊婦さんでも気をつけたいのが「絨毛膜羊膜炎」です。
絨毛膜羊膜炎は、細菌感染によって細菌性腟症を発症し、腟炎、子宮頸管炎へと炎症が広がることで起こります。
腟からの細菌感染を防ぐために、デリケートゾーンを清潔に保ち、妊娠中に性交渉をするときはコンドームなどをつけましょう。また、細菌性腟症の段階で治療を行うことで、絨毛膜羊膜炎や早産・流産を予防することができます(※3)。
日々の生活の中で、ある程度は流産のリスクを下げることができます。ただし、染色体異常など胎児側に問題がある場合は、予防をすることはできません。
流産しないように赤ちゃんを思いやることも大切ですが、ママにはどうにもできない場合もありますし、あまり神経質になりすぎるとストレスが溜まってしまい、かえって良くありません。食事・睡眠をしっかりとり、気分転換もしながら、落ち着いてマタニティライフを過ごしてください。
医療法人皓慈会 浅川産婦人科
理事長・院長 浅川恭行
経歴
1993年 | 東邦大学 医学部卒業 |
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1999年 | 社団法人日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 |
2007年 | 東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科講師(病院) |
2007年 | 日本産婦人科医会 幹事 |
2009年 | 医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事 |
2017年 | 医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事長・院長 |